LOG by Studio Mumbai
スタジオ・ムンバイ設計のホテル<LOG>で過ごした週末
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千光寺へ続く尾道の魅力がぎゅっと詰まった石畳の階段を100段ほど登ると、立派な石垣とともに淡いピンク色の小学校のような建物が見えてきます。
そこにあるのはインド・ムンバイを拠点に活動する建築設計事務所スタジオ・ムンバイが設計したホテルLOG。
客室数は6室と小規模ながら、共用エリアはカフェ、ギャラリースペース、ライブラリ、レストラン、ショップ、中庭にオープンエアーのロビーと充実しています。そのため、15時のチェックインから翌朝のチェックアウトまで楽しみの尽きない滞在となりました。
贅沢なオープンスペース
門構えを超えて建物に入ると迎えてくれるのは広がりのあるピロティ。海外のリゾートホテルに来たような感覚はこの広がりのあるオープンエアーのピロティやロビー、眩しいほどの中庭の植栽とラフな外構仕上げから生まれる雰囲気によるものなのかも。1,2階を合わせると客室5つ分ほどの面積がオープンスペースとして開放されており、ホテルの運営面から考えるとかなり大胆な構成。
LOGはホテルとして営業していますが、<CAFE&BAR ATMOSPHERE>というカフェやLOGで使用しているお皿や部屋着などを販売するショップなど宿泊者以外の人でも楽しめる複合施設です。
カフェで注文したドリンクはオープンスペースでもいただくことができます。このオープンスペースは地元の人や千光寺を訪れる観光客休憩所となっており、そう考えると地域とLOGを繋げる需要な位置付けになっていることが見えてきます。特に千光寺を訪れる観光客の立ち寄り所としてのLOGの心意気を感じるのは男女8ブースずつ設けたれたお手洗い。綺麗で、とても大きかったです。
また、L型建物の結節点がオープンスペースとして開放されているためホテルの廊下特有の閉塞感を全く感じさせず、それどころかこのオープンスペースがLOGらしさを生み出しているよう。
和紙に包まれた真っ白な客室
ログの客室は六室とも面積42平米、間口約6mと大きなお部屋で客室タイプは2ベットルームと1ベットルームの2タイプの客室があります。
今回は1ベットルームの客室での宿泊です。
アウトセットのスチール製両引き戸をあけるとひろい玄関土間がお出迎えしてくれます。客室には廊下がなく、玄関土間から寝室、縁側と続きます。
寝室は床、壁、天井、建具枠にいたるまで全て白い手漉き和紙仕上げ!床は柿渋とガラスコーティングで強度だし、木製建具は建具の両面だけでなく枠にも和紙、コンセントのプレートにまで和紙をはる徹底ぶりです。同色、同素材で仕上げると単調になってしまいそうですが、障子の陰影と和紙の手仕事ならではの程よい揺らぎによりシャープなのに柔らかい印象です。内装仕上げをする際は施工精度上どうしてもできてしまう隙間や不陸を隠すために見切りを設けますが、LOGには見切材をほとんど使わず三和土や壁も全て角にRをとって納めています。手仕事によるムラ感は工芸品のそれのようでした。
尾道水道を臨む縁側で一休み
客室の窓辺はサンルームのようになっており、窓を開けると斜面に並ぶ民家とその奥に尾道水道への眺望が広がります。この腰窓は下枠高さが620mmと低く、天井までの高さなので開放感がありました。
ウェルカムスイーツのレモン風味のマカロンはフレッシュな酸味が感じられてとても美味しかったです。
千光寺頂上展望台PEAKまでの散策
LOGから千光寺頂上展望台PEAKまでの歩いて20分ほどの道のりは、三重塔と街並みを見下ろすの絵葉書のようなスポットがあったり、猫に出会ったり、尾道の坂のクライマックスのようなところでした。ちなみに、Google mapではLOGからPEAKまでは550m、徒歩9分とあるのですが、階段と坂道の連続なので日頃運動不足の私は息が切れるほどの運動になりました。(千光寺頂上展望台PEAKは近くの駐車場まで車でアクセスすることも可能です。)
ASの設計による千光寺頂上展望台PEAKは橋梁工事のようなスケールと建築の繊細な造作がマッチしていてかっこいい展望台でした。展望台に登って見る尾道水道。
尾道産食材の組み合わせが楽しい食事
LOGでは夕食に尾道の野菜、果物、鮮魚を中心としたコース料理をいただくことができます。梨と春雨の和え物やハーブと鮮魚のカルパッチョ、たこ・はも・エビ・じゃがいも・野菜のカレー鍋など自分では思いつかない組み合わせの料理ばかりで、知らない味に味覚が刺激されました。
LOGでの過ごし方
15時チェックインの予定でしたが前の予定が押してしまい、16時のチェックインとなりました。とはいえ、客室6室の小規模なホテルだし、外資系の大きなラグジュアリーホテルのようにプールやスパがあるわけではもないので、16時チェックインでも結構のんびりできるでしょうという考えでLOGに到着。お部屋でのんびりして、千光寺公園まで散歩して、19時からコース料理をゆっくりといただいて、ギャラリーを覗いて、21時からのサロンタイムでお茶を飲んで、お風呂に入って、、、と過ごしていたらあっという間の時間でした。
もう少し早くホテルについて、Cafe&Bar Atmosphereで美味しそうな飲み物を飲みながら夕日に染まる赤い空間でゆっくりしたかったなーとかShopをじっくり見たかったとか、時間が足りなかったくらいです。これから宿泊されるからは15時のチェックインから11時のチェックアウトまでLOG滞在の予定にしてほしい。朝ごはんもコース仕立てで一皿一皿サーブされるので1時間かけてゆっくりサラダ、パンケーキ、デザート、チャイをいただきました。
LOGは1、2階が共用部、3階が宿泊室という構成です。
<LOG>階構成
1階:レセプションショップ、ダイニング
2階:カフェ&バー、ギャラリー、プライベートダイニング
3階:客室
ギャラリー
ギャラリーではLOGの設計から竣工に至るまでの検討過程をまとめた冊子や家具のサンプルが展示されており、19:00-22:00/7:00-11:00の間で宿泊者は自由に見学ができます。
中央の机に置いてあるプロジェクトブックには設計過程の検討案がいくつも掲載されていました。6室の大きな客室という条件は最初から決まっていたようではなく、ドミトリーのようなプランもありました。
ライブラリー
ライブラリーはスタジオ・ムンバイのビジョイ氏の書斎をモチーフにしているということでした。感染症対策のため、見学は予約制となっており、チェックイン時に15:00-22:00/7:00-11:00枠で予約ができます。
朝ごはん前の7:00に予約を取りコーヒーを飲みながらテーブルに置いてあるスタジオ・ムンバイの作品集をパラパラ。いい時間が過ごせました。
Cafe&Bar Atomosphere
カフェタイムは11:00-17:00(LO16:30)での営業です。時間が合わず、今回の旅行ではカフェを利用することか叶わず。次にくる機会があれば夕日で照らされるカフェでコーヒーを飲みながら日没までの時間を楽しみたい。
宿泊者限定で21:00-22:00まではCafe&Barがサロンタイムとして開放されているので夕食後にお邪魔しました。サロンタイムって聞きなれないですが、3種類のドリンクと焼き菓子を自由にいただくことができます。Barとして営業していないのはちょっと残念だけど、こういうサービスはクラブラウンジみたいでちょっと嬉しい。あたたかいハーブティーを飲みながら次の日の旅程を練りました。
Information
LOG
住所:広島県尾道市東土堂町11-12
WEB:https://l-og.jp/